インボイス制度の開始まであと3ヶ月を切り、
世間ではまた注目が集まっているようですね。
直近で有名な声優さんが会見を行われたことがきっかけのように思います。
制度に注目が集まり、インボイス制度について考えることは良いことだと思います。
ただ自分としては、色々な立場の方から制度に関する意見をお聞きしますので、
立場を声高に示すのは控えています。
本当に立場によって捉え方は違います。
議論が悲鳴にならないよう、納得いく形を探ることのお手伝いができれば良いなと思っています。
インボイス制度の登録と消費税の納税義務はセット
ところで、インボイス制度と消費税の申告・納税義務はセットです。
つまり、インボイス制度に登録しておきながら、申告・納税をしていなければ
当然税務署から「消費税に関するお尋ね」の書面が届くことになります。
理由はどうであれ、その書面を放っておけば税務調査につながるでしょう。
よって、インボイス制度が始まったあとは、申告と納税を見据えた準備をしておきましょう。
準備することは3つです。
1.消費税の納税額のシミュレーション
2.請求書フォーマットの見直し
3.取引先へ登録番号を通知
本日は1.についてご説明します。
消費税の計算と納税のシミュレーションをしてみよう
消費税の納税額は、消費税計算により算出します。
消費税計算は納税者自らが行います。
インボイス制度導入にともない消費税を納めることになった方は
2023年10月1日以降に終わる決算期から消費税計算が必要になるということです。
消費税計算の方法は3つです。
1.2割特例
売上の消費税の2割を納める計算方法です。
110円の売上の場合、消費税10円の2割で2円です。
実質的な負担は約1.8%です。(2/110円)
2.簡易的な方法
売上の消費税の一定割合を納める計算方法です。
一定割合は業種により決まりがあります。
(卸売業10%、小売業20%、製造業30%、飲食店40%、サービス業50%、不動産業60%など)
1.と比較すると、この方法を使って有利になるのは、実質的な負担率が約0.9%(1/110円)の卸売業のみということになります。
3.原則的な方法
売上の消費税から仕入・経費の消費税を差し引いて、納める消費税を計算する方法です。
注意点もあります
先ほどの計算方法において、多くの方で
2割特例>簡易的な方法>原則的な方法
の順に納める消費税額が小さくなる見込みです。
よって、2割特例を選択する方が大半でしょう。
ただ、2割特例は誰しもが使える制度ではありませんのでご注意を。
次の方は2割特例は使えません。
・2023年10月1日より前から消費税を納める義務がある方
・消費税の計算期間を短縮している方
・2期前の課税売上が1,000万円を超える方
・前期の前半6ヶ月の課税売上高及び給与の支払額が1,000万円を超える方
・期首の資本金又は出資の額を1,000万円以上として法人を新設した方の1期目と2期目
2割特例は多くの方で最も消費税を納める額が少なくなる計算方法です。
よって、2割特例が使えると勘違いして適用してしまうと
本来納めるべき消費税額より少なかったという事態になってしまいます。
多くの方が使える制度であることが、
必ずしも自分が使える制度とイコールでないことには十分注意をしなければなりません。
もし、本来使えない2割特例を適用している疑念がある場合は
この場合もまた税務署からのお尋ね書面が来ることになるでしょう。
初めての消費税の計算や申告の際には税理士に相談してみるのもおすすめです。
お金はかかることとなりますが、長い目でみればリスクを避けられます。