リスケとはなにか?

リスケとはリスケジュールの略で、金融機関から受ける融資の条件を変更してもらうことです。

例えば、
・一定期間、返済額を減らしてもらう
・一定期間、元本返済自体を止めてもらう
がリスケにあたります。

今あるの借入の返済負担が大きく資金繰りが厳しいときや、
新しい融資を借りることができないときに資金繰りを良くするための対応といえます。

日本人は借金=悪のイメージがまだ強く、
さらにその借金の返済遅延となればよりイメージが悪いようで、
リスケだけは免れようとギリギリまで返済を頑張る傾向にあるようです。

また世間から「リスケ=借金を返せない会社」というイメージを持たれたくない
という気持ちもあるのかもしれません。

ゆえに、そもそもリスケを資金繰り対策の検討材料にもしたことがない経営者の方もいらっしゃるでしょう。

しかし、割とリスケは使われています。

中小企業の場合、
対銀行からの借入では、過去3年で累計約110万件。
対信金・信組などからの借入では過去3年で累計約90万件のリスケ実績があります。

両者を合わせると約200万件、1年あたり約70万件です。
全国の中小企業者数が約360万だとすると、意外と件数が多いというイメージを持たれるのではないでしょうか。

資金繰り難の際にはリスケも検討材料のひとつということが言えます。

リスケを考える上での3つの注意点

リスケの実施件数は割と多いとお伝えしましたが、それでも注意点はあります。

⑴銀行が必ずしもリスケに応じてくれるわけでないということ

銀行にとってみれば、やはりリスケはしてほしいものではありません。

銀行は融資先の会社を格付けしていますが、リスケをするとその会社の格付けを下げることになります。
格付けを下げると、会社の倒産に備えてより多くの貸倒リスクを銀行自身の決算書に折り込まなくてはなりません。

貸倒リスクを折り込める金額には上限があります。
上限を超えると、最悪の場合銀行は業務停止処分となります。

とはいえ、銀行がリスケに応じてくれなければ会社は困るわけです。
ひいては社会全体も困ります。

そこで、実現可能な経営改善計画を作成している会社に関しては、
銀行側が折り込む貸倒リスクは最低限で良いという指針が金融庁から発表されています。

よって、リスケをお願いするときは事前に経営改善計画を準備することから始まります。

⑵タイミングが大事

リスケはタイミングが本当に大事です。
融資を十分に返済できているときにリスケを依頼するのは尚早ですが、
しかし遅すぎると命取りになります。

リスケの依頼に申し訳なさを感じて躊躇するかもしれません。
しかし、そうしているうちにも現金は減っていきます。

リスケを行っている間は基本的に新たな融資は受けられませんが、
リスケをしないからといって、必ずしも追加融資が受けられるとは限りません。

リスケを検討する前提に赤字や資金繰難があるでしょうから、
追加融資も厳しいものになるでしょう。

その状況でリスケをせずに返済を続けようとすると、どんどんお金は減ります。
経営の立て直しをする余裕もないので、
そうなると、ノンバンクや家族・知人からお金を集めるほかならない状況です。

ノンバンクは銀行融資より条件は悪いので、
銀行融資の返済のために、新たに条件の悪い融資を受ける悪循環が始まってしまいます。
いうまでもなく、この状況では資金繰り改善は見込めません。

また、リスケの審査自体も時間がかかります。
リスケは概ね半年-1年単位で検討され、リスケ期間中は新規融資を受けられないことを考えると、
少なくとも先6ヶ月の資金繰りは見込んでおきましょう。

その間に資金繰りが難航する見込みの場合は、リスケも視野に検討を行うことが必要です。
タイミングが遅れると本当に苦しい状況になり、最悪の場合倒産になりかねません。
リスケは慎重に考える必要がありますが、決断を迷い続けてはいけないと言えます。

⑶新規融資を受けてすぐにリスケのお願いをする

金融機関にリスケを依頼する上で避けるべき行動があります。
それは、融資実行後すぐにリスケを申し込むことです。

このような場合、最初から融資額をもっと多く設定して申し込むべきです。

また、借りてすぐに返せなくなる会社に対して融資を行ったとの見方をされることで、
銀行内で融資担当者への風当たりが強まります。
会社と融資担当者の関係も悪くなり、今後の融資に影響を及ばしかねません。

さらに、銀行から会社に対しては融資の一括返済を求めるケースもあるかもしれません。
少なくとも新規融資後半年間はリスケの依頼はすべきではないでしょう。

編集後記

リスケとはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、そういうこともできるということはぜひ覚えておいていただきたいと思います。
Youtubeの方でも解説していますので、お時間ありましたらゆるりとご覧いただけると嬉しいです^^

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。