
大きな水流には心奪われますが..
上の写真は連休に帰省したときに撮った「かずら橋」です。
実家の徳島県三好市から車で40分ほど走ったところに、かずら橋があります。
かずら橋からさらに少し歩くと、琵琶の滝という滝があります。
こちらも観光名所です。
約40mの高さから滝つぼに向かって勢いよく水流が流れ落ちています。
その光景を見て、真っ先に目に入るのは目の前を勢いよく流れ落ちる水流です。
圧巻ですし、美しいです。
ただ、これを会社のお金として考えた場合には、
ちょっと違う見方をしていただきたいというのが本日のお話です。
琵琶の滝には流れ落ちた水をためこむ滝つぼがありました。
誤って落ちたら危険なレベルの水量が溜まっていました。
母が「押すなよ。ぜーったい押すなよ(笑)」と言っていましたが、
はい、絶対押しません(^^;
会社の場合の滝つぼ(水流の貯めどころ)は、貸借対照表の現金預金(以下、現預金)です。
会社が今時点で確保している資金です。
一方、目の前の水流は会社にとっての売上の位置付けです。
会社を循環させるためになくてはならないものです。
で、ですね。
一見すると、圧巻な水流(売上)に誰しも目が奪われます。
滝つぼにたまっている水(現預金)は静かですし、じっと見ようとはしません。
でも、少し待っていただきたいのです。
もちろん売上も大事です。
でも、売上ばかりを追いかけてしまい、
肝心の現預金の蓄えが増えなければ会社は一向に強くならないのです。
仮に現預金がなくなってしまえば、会社は倒産します。
もし売上ばかりに目が向いているなら、一度立ち止まって考えていただきたいのです。
足元の滝つぼに水は溜まっている?
たとえ目の前に大きな水流があったとしても、
足元の滝つぼにもその分水が溜まっているでしょうか。
会社で言い換えれば、売上が大きい割にちゃんと現預金が残っているかということです。
実は、売上と現預金は必ずしも相関関係にはありません。
売上が大きいからといって現預金がたくさん残っているわけではありません。
逆に、売上が小さいからといって現預金も小さいわけでもありません。
小さい売上でも、無駄遣いをせずにしっかり利益を残して現預金を確保する。
ひとり社長や少人数で会社を営まれている方は、この考え方が非常に大事です。
なぜなら、大企業にマンパワーで劣るからです。
大きな売上を稼ごうとしたら、その分の人員や設備投資が必要です。
行きつくところはお金が必要になるのです。
小さく事業を行っていれば必要のないお金がどんどん出ていくことになります。
結果、現預金がなくなり経営は苦しくなります。
大企業とは違った戦略で稼ぐ方策が必要ということです。
誤解を恐れずいうと、小さく稼いで大きく貯める戦略です。
もちろん、小さくといっても全然売上がないという場合はあてはまりませんのでご注意ください。
資産効率・投資効率を考えてみよう
では、具体的にどうすれば良いのかということについて2つお伝えします。
1 資産効率
資産効率とは、その資産をどれだけ早く現金化できるか?ということです。
資産というと良いイメージを持たれるかもしれません。
でも実は資産もいろいろあります。
必ずしも良い資産ばかりではないのが事実です。
資産は、会社の貸借対照表の左側に載っているものです。
現金・預金からはじまり、売上債権→固定資産→投資有価証券など、
色々な項目が縦に並んでいます。
業種にもよりますが、上にある資産の比率が大きいほど、
健全な会社、強い会社であるといえます。
上にある資産とは、現金や預金、売掛債権と呼ばれる売掛金や受取手形など、
現金化が簡単な資産です。
ここで、会社がお金に困ったときを考えてみると良く分かります。
例えば、1週間後に仕入先に支払をしなければならないというとき。
支払額以上の十分な現預金が確保できていれば問題ありません。
でも、もし現預金の総額が支払額に満たない、またはギリギリの量であれば問題です。
売掛金や受取手形の入金を取引先に急いでもらったり、他の資産を売ったり、
借入を行うなどして、早急に手元に現預金を確保する必要があります。
ただ、資産を売るにしてもそんなにすぐに売れるとは限りません。
また1週間後に間に合うような借入は実質不可能です。
そのように考えると、なかなか現金化ができない固定資産(建物や土地など)は
資産という名前はつけど、必要最低限にとどめるべきということになります。
建物であれば、所有でなく賃貸という手もあります。
建物を所有していれば担保価値になるというメリットもありますが、
いざというときの担保よりも日頃の現預金豊かに持っておける賃貸の方が
メリットがあるのではないでしょうか。
もっといえば、在庫をたくさん抱えることもまた資産効率は悪くなります。
在庫が増えても売上は増えません。
在庫は売れて初めて現金化の道が開けるのです。
もちろん、在庫をゼロにするのは現実的ではないでしょう。
より早く納品できる他社に売上を奪われてしまいますし。
考えていただきたいのは、不要な在庫や不良な在庫です。
もしこのような在庫があれば低額でも売って現金化するに越したことはないでしょう。
2 投資効率
投資効率とは、投資額をきちんと回収できているか?です。
ただ回収するのではなく、きちんと回収できているか、をポイントに見ていただきたいです。
会社を経営していると、日々色々な営業話が耳に入ってきます。
一見すると、どれもそれ相応の売上効果が見込まれたりするものです。
でも、支払う前に一度落ち着いて、支払った金額に見合う利益がえられるかを考えていただきたいのです。
ここで重要なのは利益を考えるということです。
投資によっていくら売上が上がったとしても、投資額が大きく、
実質利益がほぼないということにならないようにしなければなりません。
売上が上がれば上がるほど忙しさも増しますが、
ともすれば忙しい割に全然楽にならない、という悪循環に陥ってしまいます。
なるべく少ないコストで利益を大きく上げることができれば投資効率は良くなります。
そのことを念頭において、最低でも今の投資効率の水準を上回るものでなければ投資を行わないなどの判断基準を持つことも大事です。
まとめ
本日は、目の前の売上に捉われすぎず、現預金をためることも重視しようというお話をしました。
ひとり社長の戦略は薄利多売でく、厚利少売です。
そのことを念頭において、今一度経営の考え方を見直してみませんか?