売ることは大事、でも…
事業を立ち上げたらまず「売る」ことが大事といえます。
いくらスモールビジネスであっても、自分が食べていけるだけの売上がなければ、
当然入金もなく、毎月の生活すらままならないということになりかねないからです。
しかし、すでに世の中に流通している同種のものを売ろうとしてもなかなか売れない、
物やサービスが溢れた世の中ですので、多くの社長が通る道と言っても良いかもしれません。
じゃあどうやって、売るの?といえば、
真っ先に思いつくのは売値を下げることではないでしょうか。
できれば売値は下げたくないもの、
そんなことはみんな分かっているし、できるならそうしているよ!
というところですよね^^;
売値を高くするとなかなか売れない、
逆に安くするとまあまあ売れる。
併せて、売れると精神的に安心する効果もあります。
売値のコントロールは日々社長の頭の中にあるといっても良いのではないでしょうか?
でも、この売値のコントロールって、実は意外な副次作用があるのです、
というのが今日のお話です。
特に、安く売ることの作用ついて、知っておきたいことをお話できればと思います。
「売れ、売れ!」思考の盲点
先ほどもお伝えしたように、売れれば安心感があります。
人間必ずしも合理的な選択をしないとは、どこかで聞いたことがありますねぇ^ – ^
したがって、売値を下げて条件を悪くしてでも目先の売上を重視してしまう「売れ、売れ」思考になってしまう。
でも「売れ、売れ」思考には副次作用があります。
資金繰りが苦しくなる
売上は入金してもらうまでが大事です。
大口の取引先と契約が取れた、とか取引先数が増えたことをだけをもってして喜べないのです。
例えば、大口の取引先の入金条件が3ヶ月先だったら?
3ヶ月間は資金が一方的に流出するのみで入金は一切ありません。
少なくとも3ヶ月間の資金負担を自社で行わなければなりません。
また一気に取引先を増やすあまり、取引先の選定が疎かになり
不良債権が増えてしまうことも考えられます。
サービスは完了しているのに入金は一切なし、では困ってしまいます。
これらに共通するのは、入金までを見据えて売上を増やせているかということです。
いくら売上が上がっても、資金繰りが持たなければそこで会社は回らなくなります。
売上が右肩上がりの時は、「大丈夫、大丈夫!売上さえ増えてきているんだから」
と少し悠長に考えてしまうかもしれません。
しかし、売上が上がっているときこそ、先の資金繰り計画を綿密に行い
資金不足に陥らないよう計画性を持たなければならないのです。
人員・経費の拡大
売上を増やすということは、少なからず先行投資があるはずです。
最も大きいのは人件費です。
売るための営業を行う人、製品を作るための人、
これらの方々にお支払いする人件費が必要です。
また、仕入や広告費、通信費、物流費なども必要です。
これらに共通するのは、売上入金より支払が先行するということです。
支払が先行する分の資金を確保しないままに売上拡大すると、
まさに自転車操業ともいえる苦しい反動がきてしまいます。
利益が小さくなる
売値を下げると利益も下がります。
売上が上がっているのに利益が下がる、とは一見不思議な現象のようですが、
売値の減少を数量でカバーしているだけということです。
そうなると、数を売らなければいけなくなるので、
ますます人件費も製造コストも増えることになります。
利益を確保するために、これまでより多くの労力が必要になるということです。
これはなかなかしんどいことです。
いずれどこかのタイミングで値上げしなければ苦しい状況が続いてしまいます。
資金繰りを見据えることが大事、難しければ借入の検討も
「売れ、売れ」が決して悪いというわけでなく、資金繰りを見据えることが大事です。
資金が尽きたら、事業は破たんしてしまうからです。
よって、売上をあげようとするときにも資金繰り表を作ってみましょう!
資金繰り表を堅実な数字で作ってもなお、資金が確保できるのであれば問題ありません。
できれば月商3ヶ月分の資金を確保しておくようにしましょう。
難しいようなら、資金調達をしてから売上拡大に動くべきといえます。
売上拡大による資金需要ですから、前向きな借入理由を提示することができます。
ここで借入を渋らず堅実に行くことで、その後の資金の余裕が大きく変わるのです。
編集後記
明日から今年の税理士試験がはじまります。
受験される方々の凄まじい努力を見聞きし、綺麗事かもしれませんが努力は必ず自分を助けてくれると思っています!!
日々の努力がどうか良い結果に結びつくように祈っています(o^^o)