そもそもNFTに税金はかかるの?
NFTとは、ブロックチェーン技術を用いた唯一無二の価値を持つデジタル資産のことです。
*ブロックチェーンとは*
取引データをブロックと呼ばれる単位で格納し、そのブロックを暗号技術により1本のチェーンのようにつなげたものです。
ブロックチェーンには、取引の改ざんやデータの破壊が行われにくい、ネットワークの不具合に強いなどのメリットがあります。

「NFT」はここ数年で一気に注目を集めるようになりました。
それゆえ、税金のかかり方についての法整備もまだ追いついていない状況です。
では、法整備が追い付いていないため税金がかからないと考えて良いのでしょうか?
答えはNOです。
税金のルール上は、「利益があるところには税金がかかる」とされています。
利益があるところ、というところがポイントです。
具体的に「〇〇には税金がかかる」との表現をあえてしていません。
そうしてしまうことで、〇〇から外れた場合には税金がかからない
ゆえに、税金を納めていないんだと主張されてしまっては困るからです。
よって、NFTのような新入りの取引であっても、利益が出れば漏れなく税金がかかるということです。
NFTであっても、他の取引同様に税金計算と納付が必要なのですね。
OpenSeaで買ったNFTアートを売ったときにかかる税金
OpenSeaとはNFT取引の大部分が行われているマーケットのことです。

イメージだけ抑えておけば大丈夫です。
(絵の精度はおいておいて(笑))
では、個人の方がOpenSeaで買ったNFTアートを売ったとき、その方にはどのような税金がかかるのでしょうか?
1 趣味で購入したNFTを売った場合
この場合は儲けを目的にした取引とは考えられませんので、譲渡所得となります。
あくまで、趣味でというのがポイントです。
趣味で購入したNFTを売ったところ、たまたま利益が出てしまったような場合です。
実は投資目的で儲けを得ることが目的だったという場合は譲渡所得にはなりません。
ただ、一般的には売るときには儲けを目的にするのではないでしょうか。
そう考えると、譲渡所得になるケースは少ない気がします。
ちなみに、譲渡所得の場合は特別控除など税金が有利になる制度を使うことができ、
他の所得と比べてお得になります。
ただし、税金を安くするために意図的に譲渡所得に見せかけるように装ったケースは
税金逃れということになり、ペナルティが発生します。
譲渡所得になるかどうかについては、
譲渡の回数、数量、取引金額、広告宣伝の状況などにより判断することになります。
また、生活に通常必要な美術品で30万円以下の譲渡所得には個人の税金がかからないという規定があります。
これは、少額の利益は追及しないという考え方によるものです。
では、NFTアートはどうなのか?
NFTアートは確かに美術品の側面はあります。
ただ、生活に通常必要といえることが必要です。
よって、「NFTアートが自分の生活に必要なものだ」
と客観的な根拠を示すことが必要になると考えます。
2 儲けを得る目的でNFTを売った場合
この場合は、事業所得または雑所得となります。
事業所得か雑所得かの区別は、規模で判断します。
ちなみに、雑所得に比べて事業所得の方が税金上のメリットは大きいです。
そのため、できれば雑所得でなく事業所得にしたいもの。
でも、この場合も意図的に事業所得に見せかけるように装ったケースは税金逃れということになり、
ペナルティが発生します。
では、事業所得と雑所得の区別のポイントは何かと言いますと、
NFTのクリエイター業を専業にしている方は、事業所得になります。
他方、NFTのクリエイター業とそれ以外の事業をしている方は総合的な判断になります。
・継続して取引をしているか?
・ちゃんと儲かっているか?
・自分の責任によって行っているか?
・費やした労力はどのくらいか?
・ほかにメインの事業がないか?
・メインの事業との収入のバランスはどうか?
・取引の記録をしているのか?
といったポイントを見て判断します。
編集後記
NFTの税金は法律の整備も道半ばです。
法律にバシッと書かれていない事も多いですし、
書籍を確認しても結局は個別判断になるという書き方が多いように見受けられます。
これが悪いわけではなく、事例がまだ少ないゆえ仕方のないことだと思います。
そのため、今ある法律の趣旨を考えてNFT取引を解釈することが現時点では大事になろうかと思います。
そういう意味では、税理士として税金に関する法律だけでなく
NFTをはじめとするデジタル資産を実際に取引してみることも大事かと思います。