生命保険金は相続税の対象になります
被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)の相続人が
・生命保険契約の保険金
・損害保険契約の保険金
を受け取った場合、その受取人に相続税を課すこととされています。
厳密に言えば、保険金の受け取りは死亡を保険事故とする保険契約に基づくものであり、
相続によるものではありません。
ただ、実質的には相続により受け取ったのと同様の効果を持つため、経済的な効果は変わりません。
よって、税金を公平に課すという考え方により、生命保険金の受け取りにも相続税が課されることとなっています。
これをみなし相続財産といいます。
本来は相続財産ではないけど、相続財産とみなして課税するということです。
保険金も相続税の対象になるということをおさえておいていただければと思います。
また生命保険金とひとくちにいっても、受け取った保険金に相続税が課されるのは、
被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)がお亡くなりになった場合の死亡保険金です。
つまり、保険契約の被保険者が被相続人であるものに限られます。
用語の説明
用語 | 説明 |
保険金受取人 | 保険事故が発生した場合、保険契約の履行により保険金を受け取る人。 |
保険契約者 | 保険契約の当事者として保険会社と保険契約を行なった人。 |
被保険者 | 保険事故の対象となる人。その方の生死等が保険事故とされている人。 |
保険料負担者 | 保険料を支払う人。本来は保険契約者が支払うものですが、実際に負担した人を指しています。 |
保険事故 | 保険金の支払義務を具体化させる事故のこと。生命保険契約の場合は被保険者の死亡や生存満期が保険事故にあたります。 |
また、死亡保険金は生命保険契約のみでなく、損害保険契約で交通事故による死亡保険金を受け取れるものや
共済契約で死亡保険をカバーしているものもあります。
これらも生命保険金に含まれ、相続税の対象となります。
なお、保険金とともに以下の支払いを受ける場合、これらもみなし相続財産として相続税の対象となります。
・剰余金、割戻金…保険会社による保険料の運用により生じた運用益で、契約者に還元されるもの。共済契約の場合の剰余金に相当するのが割戻金です。
・前納保険料…すでに支払った保険料のうち、まだ払込期日が来ていない保険料のことです。
保険料を支払った人によりかかる税金が変わります。
生命保険金の受け取りが相続税の対象になると話ましたが、厳密には被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)
が保険料を負担した部分が相続税の対象となります。
たとえば、保険料負担者が
⑴被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)
⑵保険金受取人本人
⑶それ以外の方
の場合、⑴に対応する生命保険金のみが相続税の対象です。
保険金受取人本人やそれ以外の方が保険料を負担している部分は相続税以外の税金がかかります。
保険料負担者が⑵保険金受取人本人であれば、生命保険金には所得税・住民税が、
⑶それ以外の方が保険料を負担した生命保険金であれば贈与税がかかることになります。
入院給付金を受け取った場合も相続税の対象です
生命保険金とは別に医療保険に加入していて、入院給付金の受け取り前にお亡くなりになるケースがあります。
このような場合、本来の受取人は亡くなっいるため、その方の相続人が入金給付金を受け取ることになります。
この入金給付金もまた相続財産となります。
ただし、先ほどの生命保険金と違うのは、みなし相続財産ではなく、本来の財産であるということです。
本来はお亡くなりになった方が受け取り、その方の財産を構成する一部となるはずだった、
という考え方に基づくものです。
入院給付金であっても生命保険金であっても相続税の対象になるということは変わりませんが、
みなし相続財産である生命保険金は相続税の非課税の対象となります。
非課税対象の場合、「500万円×法定相続人の数」の金額を上限に相続税がかからないこととなるので、
できればみなし相続財産になった方が税金が少なくなるということです。
ただし、相続人の生活保障を目的とする非課税制度であることから、
相続人でない人や相続放棄者には非課税の適用はありません。
編集後記
本日は生命保険金と相続税についての話をしました。
生命保険金にも相続税はかかるけど、非課税枠があるということはぜひ知っておいていただければと思います。
また、実際の保険料負担者が被相続人(亡くなった方)でなければ、相続税より税負担の大きい贈与税が課される可能性があることも。
まだまだ関係ないと思われるかもしれませんが、一度検討してみるのも良いのではないでしょうか。