資金調達の方法は大きく2つ
会社が資金調達をする方法は大きく2つです。
1つは会社の株式と引き換えに資金を拠出してもらう「出資」。
もう1つは、金融機関から「融資」を受ける方法です。
出資を受けた場合、その金額は貸借対照表の純資産の部に「資本金」として表示されます。
一方の融資を受けた場合は貸借対照表の負債の部に「借入金」として表示されます。
おぉ!それなら純資産の部を大きくした方が会社の安全性の評価がプラスになるから出資の方がいいんじゃ、
と思うかもしれません。
しかし出資の場合には、出資をした投資家(株主)は見返りを求めて出資していることを忘れてはいけません。
この見返りのひとつに配当があるでしょう。
会社が株主に配当金を支払っても会社の経費にはなりません。
この点、融資の場合は借入先の金融機関に利息を支払わなければなりませんが、そこでの利息支払いは会社の経費にできます。
あらら、じゃあ結局のところ資金調達は出資か融資かどちらでやればいいの?と思われるかもしれません。
出資でやるか、融資を受けるかの判断
資金調達を出資でやるか、融資を受けるかは事業の新規性で判断するのが良いと考えています。
というのは、出資の場合は投資家、融資なら金融機関機関、それぞれの立場でのリスクを想像してみると分かりやすいです。
まずは出資をする投資家のリスクを考えてみます。
ベンチャーキャピタルのような投資家であれば、通常複数の会社に出資をしています。
例えば10社に投資して、そのうちの数社からの10倍以上のリターンが得られれば例え残りの会社からのリターンがなくても利益が出ます。
つまり新規事業のような相対的にリスクの大きな事業にも投資をしてくれやすいといえます。
一方、金融機関からの融資はリスク判断は慎重です。
融資の金利が概ね2%前後であることを考えれば、10社に融資を行い仮に1社でも倒産していまえば大赤字です。
よって融資審査では、確実に利益を得ると見込まれる事業に対しては積極姿勢ですが、新規性の高い事業には消極姿勢となります。
出資は万能ではない側面もある
とはいえ中小企業の場合、投資家にめぐり合うこと自体がまれです。
そんな中で投資家から出資の話があれば、新規事業であれなんであれやはりその話には乗りたくなりますよね。
せっかくのチャンスですから、注意点を知ったうえでなら出資をしてもらうのも大いに良いのではないかと思います。
ではその注意点が何か?と言えば先程お伝えした配当金が経費にならないこと以外に3つあります。
1つ目は、投資家が会社の経営に口を出すことができるということです。
誰かに口を挟まれるのが好きという方は稀でしょう。
社長だけが株式保有者ならご自身の一存で経営判断ができますが、そうはいかなくなります。
2つ目は、他の株主に配当を行う場合、通常社長も会社の出資者になっているため社長自らにも配当金を支払う必要があるということです。
配当金は社長自らの利益になるので所得税が課税されます。
3つ目は配当を行うことで事業承継をする際の自社株評価が高くなる場合があるということです。
そうなると税負担が大きくなります。
さらに仮に個人株主に相続が発生すれば、会社とは縁もゆかりもない相続人にバラバラに株式が引き継がれていきます。
その株式を取り戻すのは簡単ではありません。
この辺りの注意点は知っておいて損はないでしょう。
編集後記
世間はお盆休み期間ですが通常営業中です。
昨日は打ち合わせ後にその場にいた方々と居酒屋に。ひさしぶりでした(^^)
滅多に夜に居酒屋さんに行かないので、お盆中の特別時間のような感じで楽しかったです。