残高だけでない、預金の確認点
相続税はお亡くなりになったときの財産から債務等を差し引いた金額をもとに計算します。
預金は言うまでもなく財産の一部なので、お亡くなりになった日の残高が財産ということになります。
そうであれば、預金の申告漏れは極めて少ないのでは?
と想像できそうですが、実は預金の申告漏れは多いというのが実情です。
(国税庁「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」)
「その他」を除けば、いずれの年度も「現金・預金等」の申告漏れの金額が最も多いです。
預金の申告漏れが多い理由
申告漏れの理由の一つは「名義預金」です。
名義預金とは、預金の名義と真実の管理者が異なることです。
例えば、妻子名義の預金を作り、夫の収入を預金することはめいぎよkです。
祖父母が孫名義の口座に預金を行う場合も同様に名義預金です。
名義預金に該当すれば、妻子や孫名義の預金であっても、
お金を出して預金を行っていた方の財産になります。
仮にその方が亡くなって相続税の申告が必要な場合に、
名義預金を財産に加えていなければ申告漏れということになります。
通帳の開示義務は?
預金の申告漏れが多いということは、
裏を返せば税務調査のときには必ず確認されるということです。
名義預金を確認するためには、お亡くなりになった時点から遡って預金の出金履歴を確認する必要があります。
そのため、税務調査の際は「通帳を見せてください」と言われることがあります。
お亡くなりになった方だけでなく、その方の相続人に対しても開示が要求される場合があります。
例えば、お亡くなりになられた方の預金から100万円の現金引き出しがあるとして、
その用途が判然としないような場合。
引き出した現金をそのまま子供名義の預金に入金している可能性があると判断されれば
子供名義の預金に対しても開示が要求される場合があります。
一般的な肌感覚として、預金履歴を見ず知らずの方に見せるのは抵抗があるのではないでしょうか。
そういった理由で税務調査の際にも開示を拒む方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、法律上は拒むことはできないとされています。
これは調査官に認められている質問検査権と言う権利のひとつです。
その中に、相続人(亡くなった方から財産を引き継いだ人)には質問検査権がおよぶと決められています。
よって、預金の開示を拒み取り続けることは実質上無理ということです。
そうならないように、名義預金に該当しそうなものがないか、
過去の預金の動きは申告前に十分検証する必要があるといえます。
編集後記
インボイス制度が始まりましたね。
早速届いたslackの請求書にもインボイス記載がありました。
世論はさまざまですが、粛々と経理処理は進めていきましょう!