電子インボイスとデジタルインボイス、最近よく聞くようになってきましたが、違いはあるのでしょうか?
インボイスに関する研修を受けたり書籍を読んでみると、
A:電子インボイスとデジタルインボイスを別の意味で使い分けているもの
B:意味の使い分けを行わず、電子インボイス(デジタルインボイス)と表記し、電子インボイスとデジタルインボイスの意味合いを包含しているもの
の2つがあるようです。
このような感じです↓

Aの場合、「電子インボイス」というと図の青枠内のみ、
Bの場合、「電子インボイス」というと図のグレー部分(デジタルインボイスも含めた意味合い)で使われています。
つまり現時点では、電子インボイスとデジタルインボイスは別の意味だけどまとめて使われることが多い。
注意点は、話し手がAorBいずれの前提のもとで説明をしているかを聞き手が分かっておかないと、話がわかりずらくなってしまう。ということかなと思っています。
現時点では、インボイス制度が始まっていませんので、厳密に使い分けを行わなくとも大丈夫かなとは思いますが、今後運用段階に入った際には、どっちのハナシをしているかを意識できた方が解釈に間違いが無くなり良さそうです。
私は前者の立場(電子インボイスとデジタルインボイスを別の意味で使い分け)です。
電子インボイスとデジタルインボイスは、今後その違いが色濃くなる可能性が高いと考えているからです。
そこで、本日は2つの言葉の意味、そして今後期待されるデジタルインボイスの展望についてお話をしたいと思います。
電子インボイスとは
電子インボイスは、電子帳簿保存法における電子取引に該当する取引データのうち、インボイスが付されたものという意味合いです。
電子帳簿保存法における電子取引とは?
取引の最初から紙をいっさい使わずに、取引情報をデータ(インターネットやクラウドストレージなど)を通じて行う取引のことを指します。
具体的には、電子メールやウェブサイト、電子データ交換(EDI)などを利用して、商品やサービスの提供、注文、支払い、請求書の送付などが行われる取引を指します。
こちらの電子取引は2024年1月以降、データ保存が義務化されます。
(※2024年1月以降は猶予措置がありますが、詳しいことはまだ公表されていませんので今回はひとまずおいておきます)
もし、ルールにのっとった保存ができていない場合は、程度にもよりますが最悪のケースの場合は青色申告の取消しという厳し罰則があります。
また、インボイスは消費税計算における仕入税額控除を行ううえで必要になります。
仕入税額控除とは
事業者が納める消費税額を計算する過程において、売上にかかる預かった消費税から仕入・経費に係る支払った消費税を控除することができる仕組みのこと。
もしインボイスが付されていなければ仕入税額控除ができない=消費税を多く納税しなければなりません。
以上のことから、電子インボイスという言葉が使われる際は、
・電子帳簿保存法にのっとった取引情報の保管ができているか
・そのうえで消費税の仕入税額控除が可能状態(インボイスが付されているなどの要件が揃っている)か
が話の要点となると考えられます。

デジタルインボイスとは
一方、デジタルインボイスとはインボイスが格納された電子データです。
さきほどの電子インボイスもデータではありますが、
請求書等を従来式の紙媒体からデータ媒体にしたものが電子インボイスなら、デジタルインボイスは請求書等自体が電子データ化されたものです。
ん?まだわかりづらいですね・・(^^;
請求書等自体が電子データ化されると、売り手と買い手はそれぞれが共通システムからデータの送受信を行うだけで、インボイスデータを相互にやりとりをすることができます。
イメージはこのような感じです(^^

先に述べた共通システムがPeppolです。
より詳しい流れは、EIPA(デジタルインボイス推進協議会)で公開でれています。
ざっくりとした流れは、Peppolにユーザ登録後、アクセスポイントを通じてネットワークに接続することで、Peppolに登録しているすべてのユーザとデジタルインボイスのやり取りを行うことができます。
この仕組みを利用することで、請求書のデータ化や請求データの入力など、電子インボイスで必要な事務作業がなくなることが見込まれます。
一気にデジタル化が進むということですね!
デジタルインボイスの展望
デジタルインボイスは日本での実際の稼動はまだ行われていません。
デジタル庁が日本におけるデジタルインボイスの標準仕様であるJP PINTという仕組みを作っている最中のため、稼働まではあと少し!時間がかかりそうです。
しかし、稼働がはじまれば利便性は増しデジタル化はさらに加速るすでしょう。
そのためにはみんなが使っていくという姿勢が大事です。
(ずっと紙、も宥恕措置により問題ないこととなりそうですが、あえて時代を逆走するのはつらいところです(^^;)
しかもPeppolは国際的な標準規格のため、海外取引にもスムーズに対応することが見込まれます。
まだ不明な部分ではありますが、会計ソフトにPeppolを通じた取引情報やデジタルインボイスの取り込みが可能になるのも時間の問題だと考えています。
近い未来を見据えると、デジタルインボイスは是非使っていきたいものです!