開業時にできる資金繰り対策なんてあるの?
まだ事業も始まっていないのに。。?

そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、開業時にできる対策もございます!
会社を経営していくうえで、資金繰りは大切なもの。
開業時からしっかり資金繰りについて対策をしておいた方が良い言えます。

本日は、開業時に出来る資金繰り対策を3つご紹介いたします!

自己資本をなるべく多く持つ

まず1つ目は「自己資本を多く持つ」ことです。
開業時の自己資本は、法人の場合は資本金、個人事業主の方の場合は事業のために貯めたお金です。

法人の場合、会社法の施行により現在では資本金1円でも会社設立が認められます。
そのため、1円とは言わないまでも少額の資本金で会社設立を行う方もいらしゃるでしょう。

ただ、開業当初から順調に売上が上がる会社は少ないと考えられます。
特に開業初年度は売上<仕入・経費となり、赤字という会社も多く見受けられます。


もし資本金1円で設立していたら、初年度に赤字であれば、それはイコール債務超過ということになります。

でもこれが、資本金100万円で設立していたらどうでしょうか?
この場合は、100万円未満の赤字であれば、債務超過とはなりません。
資本金と赤字の相殺後の金額がマイナスにならない限り債務超過にはならないのです。
同じ赤字50万円でも自己資本を多く持っていれば、債務超過にならないということですね。


図にすると次の通りです。

では、債務超過にならないことに具体的に何のメリットがあるの?と言いますと、
それは会社が資金調達を受けやすいということです。

エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどの投資家は別ですが、
金融機関からの資金調達では債務超過でないことが、資金調達の可否の大きな判断基準になるからです。

中小企業の資金調達の方法は金融機関からの融資を利用することが圧倒的に多いものです。
金融機関からの資金調達ができれば資金繰りが安定しますので、債務超過にならないことが大切です。
そのためにはなるべく自己資本を多くして設立する、ということが大切と言えるでしょう。

売上の入金、仕入・経費の支払までの日数を交渉する

2つ目は「売上の入金、仕入・経費の支払までの日数を交渉する」ことです。

開業後に新たな取引先と取引を始めるとき、売上であれば「入金サイト」を決めることになります。
入金サイトとは、売上が確定してから実際に会社の預金口座に入金されるまでの日数のことです。

例えば、取引先A社に対する2023年3月の売上が20万円、サイトが30日(翌月末)の場合、
実際に会社の口座に売上代金が入金されるのは、2023年4月30日です。

一方、取引先B社のサイトは60日(翌々月末)だったとします。
この場合、2023年3月の売上代金は2023年5月31日に会社の口座に入金されます。

A社とB社を比較すると、A社の方が売上代金の入金日が1か月早まり、資金繰り上はA社の方が好ましいです。
なぜなら、売上代金をすぐに入金してもらえると、会社は預金という形でお金を持つことができます。
そのお金ですぐに次の投資を行うことができるからです。


もし手元にお金がないと、次の投資を行うことはできません。
売上代金の入金を待ってから、次の投資を行うことになりますので、その分事業のスピードが遅くなります。


目の前に良い案件があるのに、資金が足りず踏み出すことができない。。
これは会社にとって大きな損失といえます。

したがって、できるだけ早い入金サイトが好ましいと言えます。

ただ、入金サイトは一度決めるとあとでなかなか変更しずらいもの。
なぜなら取引先にとっては、当初の支払期日より支払日が早まるのですから資金繰りを圧迫するからです。
サイトの変更は利益相反になりますから、取引先との今後の関係性をふえまえると中々変更できないものなのです。

つまり、契約時がカンジン!ということです。
新たな取引先との契約時には、入金サイトも決めますね。
その際に入金サイトが長すぎないようにしたいところです。

業種などにもよりますが、基本的には1か月後までを入金サイトの目安に決めてみるのがおすすめです。
・入金サイト0日(2023年3月分の売上代金を3月31日までに入金してもらう)
・入金サイト△30日(2023年3月分の売上代金を2月28日までに入金してもらう)
などが可能な場合もあります。

売上代金の入金サイトはできるだけ早く!これを意識して交渉してみるのが良いでしょう。


一方で、仕入経費については逆です。
会社にとっては、できるだけ手元に現預金を残しておきたいところ。
したがって、仕入経費の支払はできるだけ遅く、が好ましいです。

ただ、交渉にあたっては取引先との関係が悪化しない程度にするということも大事です。
まずはやんわりと、一度提案してみて相手の感触を伺ってから落としどころを探るというのも有効です。

開業費を使う

3つ目は「開業費を使う」ことです。

法人の場合も、個人事業主の方も使える「開業費」という勘定科目があります。
開業費とは、開業のために特別にかかった経費のことです。
開業費は、開業前の期間の支払であっても認められるというところがポイントです。
具体的には、開業前にかかったホームページの作成費用や、営業に係る研修費用、事務所の備品購入費用などが開業費にあたります。

例えば、開業初年度で200万円の利益が出たとします。
開業費が50万円であれば、50万円全額が経費計上が可能ですので、利益は200万円△50万円=150万円となります。

もし開業費を知らなければ、利益はそのまま200万円です。

税金は利益に対してかかりますので、利益150万円より利益200万円の方が支払う税金も多くなります。
支払う税金が多ければ、その分会社の資金繰りは悪化します。
つまり、開業費を知っているかどうかだけで、資金繰りにも影響を及ぼすということです。


なお、開業費は翌期以降に繰り越して経費にすることも可能です。
例えば、1年目が赤字で2年目が黒字の場合、1年目は開業費を経費にせず(厳密には貸借対照表上の繰延資産に金額を据置きし)、2年目に経費にします(繰延資産を経費に振替えます)。

まとめ

いかがだったでしょうか(^^)
開業時にできる資金繰り対策3選をご説明いたしました。

  ・自己資本をなるべく多く持つ
  ・売上の入金、仕入・経費の支払までの日数を交渉する
  ・開業費を使う

資金繰り対策として検討していただけると嬉しいです!

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。