お店のオープンや事業を開始するまでの準備期間にはさまざまな費用がかかるものです。
事業を開始する前だから経費にするのは難しいのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、必ずしも経費にならないというわけではないのです。
それでは、どのような費用が経費にできるのでしょうか。
今回は、個人事業主の開業前にかかった費用についてお話したいと思います。
結論
開業前でも、開業準備のために特別に支出する費用なら経費になります。
この費用を「開業費」と言います。
開業費にできる期間
具体的にいつからの費用が経費にできる、と決められてはいるわけではありません。
開業準備のために特別にかかったものは経費になるよ、と決められています。
そうすると、例えば開業の数年前にかかった費用でも経費にできるの?という疑問が生じますね。
理論上は開業のためだけに特別にかかったものということであれば、それが数年前であっても経費に認められることは可能と考えられます。
ただ、数年間ずっと開業準備をしているというのは少し考えづらいので(お金の流出だけが継続している状態ですので)、一般的には開業の半年前ほどからの費用と言われています。
また、そのことを証明するための請求書や領収書は保管を行い、きちんと説明できるようにしておくことは必要です。
開業費にできる範囲
開業準備のために特別にかかった費用ということですので、下記に挙げるようなものが考えられます。
・お店のHPやチラシの作成などの販売促進費
・市場調査、マーケティング費用
・従業員採用のための求人費
・店舗の研修費
一方、開業後も経常的にかかる費用(人件費、水道光熱費、通信費など)は、「開業費」ではなく通常の経費と言えます。
「開業費」と「通常の経費」の違いは?
これまで「開業費」について述べてきましたが、開業費は実は「繰延資産」という貸借対照表上の資産の扱いとなります。
以下の段階的な処理が行われることにより、「経費」となります。
- 貸借対照表上の資産の部に繰延資産として計上し、
- 均等償却(60か月)又は任意償却のいずれかの方法により経費化を行います。
任意償却を選べば、仮に開業初年度に赤字になった場合は経費化を行わず、2年目の黒字化に転じたタイミングでを経費にすることも認められますし、初年度で全額を経費にすることも可能です。
つまり、利益の出具合をみて、経費化を検討できるということです。
一方「通常の経費」ではこのような処理は認められません。
支払の必要性が発生した期間に経費計上しなければなりません。
(参考資料)「償却期間経過後における開業費の任意償却」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/08.htm
まとめ
開業前にかかった費用でも「開業費」であれば、経費になります。
今回は個人事業主の開業前の費用についてお話いたしました。
開業費を活用するために、小さな金額でも領収書等の保管を忘れず心がけましょう。