「財務分析」という言葉は聞いたことがあるけど、
正直、意味がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
財務分析とは、決算書の数字をもとに会社の状況と問題点を明らかにすることです。
財務分析を行うと、会社の状況を定量的に把握することができるので、
異常な状況に早期に気づき手を打つことが可能です。
財務分析をはじめる前に
財務分析は決算書をもとに行いますが、分析に取り掛かる前に決算書の修正を行います。
例えば、回収不能の売掛金100万円が決算書にのっている場合。
決算書上、売掛金は資産の部に位置付けられるので、
売掛金が大きいほど会社の業績は良くなります。
ただし、回収不能であれば話が異なります。
売掛金に100万円の価値はありません。
そのため、100万円→0円にして考える必要があるのです。
なぜこのような修正を行うかと言うと、
実態に近い会社の状況をもとに財務分析を行うためです。
決算書の表面上の数字より、実態にもとづいた財務分析を行うことで
より事実に的確で核心的な財務分析を行うことができ、分析の成果も大きいものになります。
まずは定量的に
決算書の修正が終わったら、財務分析のスタートです。
財務分析は4つの視点から行います。
①収益性(会社がもうかっているか)
②安全性(借入金返済に懸念がないか)
③成長性(事業の将来性、発展)
④生産性(事業が効率よく運営されているか)
この中でも最も重要なのが①収益性です。
対金融機関には、
借入金をきちんと返すことができるかがポイントという考えもありますが、
売上があがれば利益もあがり、②の安全性も向上する傾向があるからです。
収益性は、総資本経常利益・総資本回転率・売上高経常利益率などの分析により行います。
総資本経常利益率(ROA)は、以下の計算式で求めます。
経常利益÷総資本×100
会社が事業のために投下した資本でどのくらいの利益がえられているのか、
つまり資本効率を分析します。
業種によって適正値は異なりますが、5%が全業種の平均値でのようです。
総資本経常利益率(ROA)は高ければ高いほど良いと言われています。
さらにROAが高い/低い原因を
「売上高利益率」と「総資本回転率」で分析を進めます。
このように、財務分析はマクロからミクロへ問題点を掘り下げていきます。
平均と方向感で深める
定量的な財務分析からさらに一歩進んだ分析を行うために、
平均と方向感をつかんでおくことも大切です。
平均とは、同業他社との比較です。
同業と言っても全く同じビジネスではありませんが、
業界全体や他社の動向を踏まえ、自社の状況把握を行います。
業界や事業の「成長」「成熟」「衰退」のトレンドをつかみ
取るべき戦略を考えます。
方向感とは、過去から現在までの決算書の推移です。
同じ事業をしている場合、事業内容は変わらないのに
赤字の年があったり黒字の年があるのは何かしら原因があすはずです。
特に売上と利益を意識し、どのうように推移しているかを把握することが重要です。
仮に赤字になった年でも過去からの推移を分析し、
会社が「良い方向に向かっている」と言えるよう準備しておくことが必要です。