短期間のうちに起こった経営破綻

ここ数日、米国銀行の経営破綻がニュースになっています。
経営破綻が今後の経済にどう影響するか、注目が高まっていますね。

簡単に何が起こっているかご説明すると、
コロナをきっかけに2020年3月頃からFRBが行っていた金融緩和が終わりを迎え、米国はいま金利上昇の局面にあります。
今回破綻したシグネチャーバンクやシリコンバレーバンクは、預金者から預かっていた資金を債券投資で運用していたものの、金利上昇により債券損失が発生し、そこに預金者から大量の引き出しが行われたため、資金がたりなくなり経営破綻したということのようです。

注目したいのは経営破綻に陥るまでの期間が非常に早かったということです。
預金者の方のインタビューをみていたら、一瞬で起こったため本人も状況についていけていない様子でした。

このニュースをみて、やはり投資は分散させておいた方が良いと強く感じました。
事態が一気に悪化したら、その流れを止めることはできないのではないでしょうか。
たぶん私が当事者でも、目の前で自分の預金が引き出せなくなる状況をどうしようもできず見ている事しかできないんじゃないかなあと思います。(シグネチャーバンクの預金は全額保護すると発表があったようですが)

預金にさえ預け入れていればリスクはないという考えが強い日本ですが、それでも分散投資は大事。
(すべての預金が預金保険制度の対象ではありませんしね。)
分散投資していてもリスクはゼロになりませんが、致命傷は負わずにすみます。

少し拡張する考えかもしれませんが、会社経営でも分散を意識することは大事だなと思った次第です。
そこで、本日は分散を意識したいポイントについて考えてみました🌟

経営の場面でもリスクへの備えは大事。分散しよう

取引先の分散

取引先を複数に分散させることは大事だと考えています。
ある1つの主要な取引先に売上を依存していて、もしその取引先との取引がなくなってしまったら、会社は一気に経営の危機に瀕してしまうからです。

私自身の体験ですが、昔働いていた会計事務所の先生から過去にこのパターンで痛い目にあったお話を伺いました。
従業員数名の小さな会計事務所でしたが、大規模な工場をもち従業員も数百名はいるような会社の顧問をされていたようです。
小さな会計事務所には大きすぎるお客様。
もちろんその分売上は大きいのですが、その顧問先以外に新規のお客様受注することができず、売上の大部分をその顧問先に依存していたのでしょう。

ただいくら凄腕の先生でも、マンパワーが必要な業務がたくさんあり、朝も夜も土日も休みなく働いてばかりだったようで、ついには体調を崩されてしまったとのことでした。
さらにその会社は、税務上も不信なことをしようとする傾向があり、それを食い止めるために精神的にも疲弊されたとのこと。
結局会社は倒産してしまったようですが、私がそのお話を過去のこととして伺った当初も、その会社の当時の経営層の方から、過去のよしみでずっとお金の相談がやまずご苦労されていました。

これは極端な話のようですが、教訓としては意識しておきたいお話です。
もし、取引先を分散することができていたら、その顧問先の売上を捨ててでも契約をやめる決断がもう少し早くできたかもしれません。
1つの取引先への依存度が高まると、相手主体の取引となりがちで、自分の時間や心身の健康を差し出してまで働かざるをえなくなります。本当にいいことはありません。


できれば、1つの取引先の売上の割合は20%まで、もっと低い値を目指したいところです。
20%であれば、もし突然取引がなくなってしまったとしても、致命傷を負わずにすむラインと考えられるからです。

自社の取引先別の売上シェアを確認するための有効な方法は、試算表(=損益計算書)で売上を取引先別にみることです。
経理の方法を少し工夫すれば、取引先ごとの売上確認は簡単です。

取引先別の売上は肌感でわかっているよ、と思われているかもしれませんが、常に数字で裏付けを取っておくことは大事です。複数社と取引していれば、1社ごとの配分は肌感覚だけでは把握しにくいものだからです。


借入先の分散

借入先も分散させよう!というのが私の考えです。
冒頭のお話のように、現在借入を行っている銀行にも経営破綻の可能性がないわけではありません。

もし一行取引のみの場合、借入先の銀行が破綻したらどうでしょうか?
言うまでもなく、その会社の資金繰りも窮地に立たされます。
預金を預けていたならなおさらです。

経営破綻とまではいかなくとも、昨今では銀行同士の合併のニュースもよく聞くようになりました。
合併の場合、吸収合併された銀行はなくなってしまいます。
この場合は合併先の銀行に融資が引き継がれますが、今後の融資ではこれまで通りの融資条件が続くとは限りません。
吸収した側の銀行の融資スタンスに合わせなければいけなくなります。
そこに怒りを感じて立てついたところで、「じゃあ貴社とは取引いたしません」と言われてしまえば、会社はより困ってしまいます。

それ以外に、一行取引では、支店長の交代や銀行の方針転換に融資条件が左右され、今まで通りの条件で融資を受けることが困難になる状況もありえます。

これに備えるためには、複数の銀行と取引する。
つまり、冒頭のお話に戻りますが、銀行も分散することが大切です。

日頃から複数の銀行と取引していれば、仮に1つの銀行の融資方針が変わり、借入がしにくい状況になったとしても、すぐに別の銀行に対応してもらうことが可能でしょう。

まとめ

今現在の業績が順調だと、うちの会社には分散は必要ないと考えられるかもしれません。
でも、いつ何が起きるかわからない時代です。
状況が悪くなってからでは、打てる手も限られてきます。
リスクへの備えとして、日頃から売上先や「借入先を分散させることを意識したいものです(^^)/

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。