2022年は円安相場、為替で得した人も

2022年は円安が一気に進み、相場に注目が集まりました。
円安が進んでいるうちに、ドル建て預金を引き出して得した方もいらっしゃることでしょう。

円安が進んで得するとはどういうことかと言いますと、仕組みは以下の通りです。

例えば、1ドル100円のときに、10,000ドルのドル建預金を円で購入します。
このとき預金者は、100万円(100円×10,000ドル)を円で支払うことになります。


その後円安が進み、1ドル145円になったときに解約して円で払い出した場合、
145万円(145円×10,000ドル)が預金者に円で支払われます。


預金者は、100万円で預け入れて、145万円で戻ってくるわけですから、
差額の45万円得をすることになります。

これが、円安により得をする仕組みです。

為替差益の税金

利益があるところに税金あり、が税金の原則的な考え方です。
円安により得した場合(以下、為替差益)に対しても税金がかかります。

為替差益の所得区分は、「雑所得」です。
課税方式は総合課税(他の所得と合算して所得税を計算する方法)です。



具体的には、上にあげたケースのほか、以下のようなケースで為替差益の発生に注意しなければなりません。


1.ドル建て預金を払い出して建物を購入

ドル建預金を払い出して建物を購入した場合も為替差益を認識します。

円高のときには100万円で100万円の不動産しか買えないのに、
円安になることにより145万円の不動産を買えると考えると、45万円は預金者の利益になるという考え方でしょうか。



2.ドル建て預金を払い出して外貨建MMF(外貨で運用される投資信託)を購入

ドル建預金を払い出して外為建MMFを購入した場合も為替差益を認識します。

考え方は1.と同じです。
外貨建預金とは異なる資産に投資した時点で、為替差益を認識する必要があります。



3.保有する米ドルをユーロに交換した場合(異なる通貨への交換)

この場合も、為替差益を認識します。
持っているドルをいったん売って円にし、その円でユーロを買ったという二段階の取引と考えると分かりやすいです。

申告が不要なケースもあります

ただし、為替差益が出たからといって必ずしも所得税の確定申告が必要なわけではありません。

たとえば、以下に該当する方は確定申告は不要になります。

・給与や年金よる所得のみで、為替差益とそれ以外の所得の合計が20万円以下の人
 ※2か所以上から給与支給がある人、1か所からの給与のみの場合でも2千万円を超える人はこの限りでありません。

・為替差益の金額が48万円以下で、他に所得がない方 など。



一方、住民税の確定申告は必要になりますので、注意が必要です。
住民税の申告が必要なのに、申告を行っていたかった場合、
国民健康保険料が正しく計算されなかったり、課税証明書が発行されないなどといった事態に発展しかねません。

基本的には、所得税の確定申告を行っておいた方良いと考えた方がよいでしょう。

まとめ

外貨建て預金の為替差益は見過ごしがちです。

2022年のように、円安が進んだ年は為替差益の申告に見落としが無いか確認が必要でしょう。
外貨預金を持っていて、取引を行っている方は申告に漏れがないか確認してみるよ良いかもしれません。

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。