本日は試算表についてのお話です。
決算書に比べて聞く機会の少ない試算表ですが、会社経営にとってはとーっても大事なものなのです(*^^*)
試算表は正確<スピードを意識して作り、経営に役立てていただきたいです!
決算書と試算表はどう違うか?
決算書は社長にとってよく聞く言葉です。
念のためにご説明すると、会社の決算書とは、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の5つです。
キャッシュフロー計算書は作成義務がないため、キャッシュフロー計算書を作成をしていない会社にとっては、それ以外の4つが決算書ということになります。
決算書は会社の1事業年度の財務状態や経営成績を正確に反映しなければなりません。
ポイントは「正確に反映しなければならない」ということです。
決算書は会社の決算のタイミングで作成し、税務署に提出したり、会社の株主や債権者に報告するために使うものですから、正確な内容が求められます。
例えば、期中に社長に仮払いをし、そのお金で社長が会社の経費を支払っている場合、決算の段階では「仮払金」ではなく、経費の内容に応じた勘定科目に修正する必要があります。
現金を取り扱っている場合では、実際の手もとの残高と帳簿の残高が異なっているのであれば、差額を調査する必要があります。
また、決算時には法人税や消費税を納税する必要がありますから、納税する税金に関する取引も決算書上に反映させます。
このような決算時の仕訳を決算整理仕訳とも呼びます。
こうやって1事業年度の取引が漏れなく正確に反映されたものが決算書です。
漏れなく正確に反映させなければいけないわけですから、決算書の作成作業にあたってはそれなりに手間がかかります。
一方の試算表は、世間一般にはあまりなじみがない言葉かもしれません。
実は、試算表は見た目は決算書とほぼ一緒です。
細かい表示方法が違うだけです。
ただし、中身が決算書と異なります。
決算書が1事業年度の取引を漏れなく正確に反映されたものである一方、
試算表は、期中の一定時点の取引を反映したもので、決算書ほどの正確さは求められません。
試算表に「試算」という文字のとおり、あくまで現在の会社の財政状態と経営成績の試算という位置付けです。
この試算表ですが、経営の現場ではよく求められます。
例えば、会社が融資により資金調達をしようとする場合、直近の決算月から3か月以上経過していれば、金融機関から
「直近の決算書にあわせて試算表もください。」
と言われることが非常に多いです。
ほとんどの会社は、1事業年度=1年のため、決算書は1年に1回作成します。
したがって、最も長い場合、1年前に作成した決算書がその会社の最新の決算書ということもあり得ます。
しかし、会社の経営は常に変化しますので、1年前の決算書を見ても会社の今状況とは異なっている部分が多く存在してしまいます。
前期は赤字だったけれど、今期は好調に黒字で推移している場合でも、最新の決算書=前期の決算書ですから、
決算書だけでは会社が赤字であることは伝わりますが、肝心の今期の黒字の状況を伝えることができません。
また、逆も然りです。
それを避けるために、試算表を求められます。
試算表は期中の一定時点の取引を反映したものですから、会社の現在の状況を伝えることができます。
試算表の提出を求められた時点の前月までの試算表を作成すれば、現在の会社の状況を報告することができます。
先ほどもお伝えしたように、試算表はあくまで試算なわけですから、100%の正確さは求められません。
試算表の提出を求められたら、なるべく早く提出することを心掛けると良いでしょう。
イメージは80%位の精度で大丈夫です。
先ほどお伝えした決算整理仕訳や、100円単位の差額の追求は必要ありません。
毎月試算表で経営状況を確認しよう
融資を申込む時だけ急いで試算表を作っている、というのはもったいないです。
会社経営のツールとして、試算表を活用することができるからです。
社長は会社の経営を考えるにあたって何をよりどころとするでしょうか。
社長の肌感や取引先の要望、従業員の声も参考にするでしょう。
でも数字にもとづいた論理的な根拠を重視するべきではないでしょうか(^^
その根拠となるのが試算表といえます。
試算表で経営状況を数字で確認することで、
・計画と実績のどこに大きな差があるか
・社長の肌感と試算表上の実際の数字に差が無いか
・思ってたより経費を使い過ぎてしまっているな
などに気が付くことができます。
そのうえで、これからの対策を考えることができます。
つまり会社の経営の基礎になるのが試算表というころです。
ここで大事なのは、試算表は常に最新にしておくことです。
なぜなら、数ヶ月以上前の試算表に基づいて会社の経営計画を立てていたら、会社が本当にやらなければいけないことに食い違いが生じてしまうからです。
さきほどもお伝えしたように、試算表は作った時点から時がたつほど実際とのかい離が大きくなり、価値がなくなっていきます。
したがって、試算表に求められるのはスピード!です。
出来るだけスピーディーに試算表を作るために、正確さはある程度すててまいりましょう(^^)/
100円単位で合わせようなど、細かいことにこだわる必要はありません。
80%くらいの正確さを目指して、とにかく早く作ると言うことを意識していただければと思います。
例えば2023年3月の試算表は、遅くとも2023年4月末までには作りたいものです。
それができるようでしたら、4月10日の出来上がりを目指しましょう。
そうすれば4月末に出来上がる会社に比べて、20日早く経営状況を把握し次の行動にでることができます。
これは会社にとって大きなメリットです。
とにかく試算表はスピード、これを覚えておいていただきたいです(^^)/
まとめ
いかがだったでしょうか本日は決算書と試算表の違いについてお話しをしました。
決算書は100%の精度が求められるものです。
一方試算表の精度は80%、そのかわりスピーディーに作ることを意識していただきたいと言うお話でした。
経営状況の振り返りが早い会社ほど、今会社がやらなければいけないことに間違いが生じにくくなります。
ぜひ試算表作成はスピードが大事と意識して取り組んでみていただければと思います。