年末調整が始まると、一時期に多くの書類の提出が集中します。
まずは年末調整の事務処理に追われることになりますが、年末調整が終わったときに書類の保存に悩むことがあるのではないでしょうか。
特に従業員が多い会社では物理的なスペースの確保も課題になります。
今日は、年末調整で受領した書類の保管方法をどうすべきか、について深堀りしてみたいと思います。
保存書類
まず、年末調整において保存が必要な書類の一覧です。
基本的にはすべての申告書を保管する必要があると考えてよいでしょう。
なお、(1)~(6)が一般的な年末調整でよく見かける書類です。
(1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(2) 給与所得者の保険料控除申告書
(3) 給与所得者の配偶者控除等申告書
(4) 給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)
(5) 所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)
(6) 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
(7) 退職所得の受給に関する申告書
(8) 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(9) 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
保存期間
保存期間は「申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間」と決まっています。
2022年の年末調整であれば、2030年1月10日まで保管が必要です。
保存方法
保存方法については、電子帳簿保存法による場合とそうでない場合に分かれます。
(1)電子帳簿保存法による場合
年末調整書類も電子帳簿保存法の対象となります。
扶養控除等申告書等の申告書は、国税関係書類のスキャナ保存制度の適用ルールに従って保存することとなります。
(2)書面で提出を受けた場合
書面で保管する場合は、原本の扶養控除等申告書等の申告書の原本保管が必要です。
なお、申告書内にマイナンバーが記載されている場合は注意が必要です。
マイナンバーは厳密な個人情報ですので、法令に則った保存が必要です。
各種控除証明書
年末調整にあたり保険料控除や地震保険料控除等の証明書として提出された各種控除証明書は保管の義務はなく、従業員に返却可能です。
ただし、年末調整をクラウドソフトで行っている場合は、クラウド内に電子データで受領していることが多く、この場合は物理的な保管スペースが不要なため、敢えて破棄することはしないで良いかと思います。
書面でこれらの書類を受取っている場合は、後に確認ができるように、従業員に返却する前に電子データ化しておくことをおすすめします。
その他
年末調整のDX化が随時進んでおり、今後も年末調整関係の書類保管については変化がみられそうです。
機会があれば、年末調整のDX化についても記事にしてみたいと思います。
(参考)「給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間」