償却資産申告書とは?

償却資産申告書をご存じでしょうか?

償却資産とは、その年の1月1日時点で所有している以下の資産です。
・事業のために所有している(事業に供する前や稼動を休止している資産なども含まれます)
・取得価額が10万円以上(一部例外あり)

ちなみに土地や家屋、ソフトウェアなどは除かれます。

償却資産を所有している場合、
個人で事業を行っている方、会社経営をされている方、いずれも申告が必要です。
毎年1月31日までに、資産の所在地の市区町村長に申告を行うことになります。

申告内容に基づき、その年の償却資産税を納税することになります。
ただし、免税点(課税標準150万円)を下回る場合は納税は発生しません。

この償却資産申告書ですが、そこまで認知度が高くないのか
提出義務を知らず、指摘されて延滞金などの支払いが必要になるケースもあります。

市区町村の担当者は実地調査といって、資産の所在確認をしています。
実地調査では事業所に資産があることを確認しているのに、申告書は未提出と言う場合、
お尋ねの電話や文章が来るケースがあります。

そのため、償却資産を所有していない場合でも、
その旨を申告書に記載して提出しておくことをおすすめします。
申告義務があるのは知っているけど、資産を所有していないよとアピールをしておくことで、
不要なお尋ねを来なくさせるためです。

注意点①取得価額は家事按分前

個人で事業を行っている場合、家事按分に注意が必要です。
家事按分とは、生活のための費用と事業のための費用とを分ける事です。
事業と生活との両方で使っているようなものについては、
事業に使用している割合を計算して部分的に経費にする家事按分を行います。

例えば、次のようなケースです。
1階が店舗、2・3階が自宅という家屋があったとします。
ここに合計15万円のLAN設備の工事を行った場合。(細かい条件は割愛します)

家事按分を行うと、15万円の1/3(店舗部分の割合)の5万円が事業部分となります。

償却資産になる/ならないの判定は10万円ですから、
家事按分を行った場合、5万円≦10万円で申告対象にならない、となりそうですが、
正しくは、家事按分を行う前の15万円で判定が必要です。

家事按分が必要な固定資産は家事按分をする前の金額で判定します。

注意点②相続で取得した資産

相続により、亡くなった方の資産を引き継いだ方も注意が必要です。

資産を引き継いだ方(相続人)は亡くなった方(被相続人)の
資産の取得時期、取得価額、耐用年数を引き継ぎます。

つまり、亡くなった方(被相続人)の資産の帳簿価額を引き継ぐということになります。
新たに資産を取得したことにはならないことに注意が必要です。

仮に新たに取得したことにしてしまった場合、中古資産の取得ということになり、
前述の取得時期、取得価額、耐用年数の全てが異なってしまい、
償却資産税の金額も全く異なるものになってしまいます。

相続により取得した場合、
資産を引き継いだ方は種々の資産を新たに申告することになりますので、
償却資産申告書の種類別明細書に相続により取得した旨を記載しておきましょう。

注意点③提出先は資産がある場所

償却資産申告書の提出先にも注意が必要です。
提出先は償却資産のある市区町村の市役所、
または東京都23区であれば所在する都税事務所になります。

所得税の確定申告は、基本的には住んでいる場所の所轄税務署になりますので、申告先が異なることに注意が必要です。
なお、提出方法は郵送またはel-taxによる電子申告が可能です。

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。