前回は開業時からインボイス発行事業者になる場合に必要な届出についてお話いたしました。

今回は、開業時には免税事業者でスタートしたが、後にインボイス発行事業者になろうとする時に必要な手続きについてお話します。

インボイス発行事業者になろうとする時、なったあと、やめようとする時。

手続さえすればすぐにそうできる時もあれば、なかなかそうできない時もあるのです。

後に「こんなはずじゃなかった!」とならないよう、一連の流れを知っていると安心ですね♪

インボイス発行事業者になる時

開業後一定期間はインボイス発行事業者とならず、その後インボイス発行事業者になる場合です。

この場合に必要な届出は「適格請求書発行事業者の登録申請書」のみとなり、登録を受けた日からインボイス発行事業者になります。

「課税事業者選択届出書」の提出は不要です。

令和5年10月1日を含む課税期間のみならず、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、「課税事業者選択届出書」を提出することなく、「適格請求書発行事業者の登録申請書」のみの提出により、インボイス発行事業者になることができます。

免税事業者が登録の必要性を見極めながら柔軟なタイミングでインボイス発行事業者になれるようにするための措置といえます。

注意点は、登録日から消費税の納税義務が発生するため、消費税の申告義務が生じます。

例えば、個人事業主が令和6年3月1日からインボイス発行事業者になる場合、

令和6年1月1日~2月28日→納税義務なし

令和6年3月1日~12月31日→納税義務あり

となり、年の途中から消費税の納税義務が生じることに注意が必要です。

また、一度インボイス発行事業者になると、登録の効力が失われない限り、たとえ基準期間の課税売上高が1,000万円以下になっても、消費税の申告が必要です。 

拘束期間に注意

もう一つ注意したいのが、インボイス発行事業者の拘束期間です。

令和5年10月2日以後に開始する課税期間からインボイス発行事業者の登録を受けると、原則2年間はインボイス発行事業者のとりやめができなくなってしまいます。(いわゆる2年縛りの規定がはたらきます)

一方、令和5年10月1日の属する課税期間に登録を受けた場合、2年縛りの規定の適用はありません。

したがって、先の例のように個人事業者が令和6年3月1日から登録を受けた場合、登録開始日(令和3年3月1日)から2年を経過する日(令和5年2月28日)の属する課税期間(令和5年)までの間は課税事業者として、消費税の申告義務が生じることとなります。

インボイス発行事業者をやめる時

消費税の納税義務は、基本的に2期前の課税売上高が1,000万円以下になれば消失します。

納税義務が消失した場合は、消費税の申告を行わないだけで、特段届出の必要はありません。

しかし、インボイス制度開始後は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出が必要です。

提出を失念して申告をしていない場合、納税義務が継続しているのに申告をしていない(無申告状態)となるので注意が必要です。

また、登録時に「課税事業者選択届出書」を提出した場合、「課税事業者選択不適用届出書」の提出も必要です。

「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出した場合であっても、「課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、免税事業者になることはできませんので注意が必要ですね。

さらに、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限にも注意が必要です。

翌期から免税事業者になりたい場合、当期の末日の30日前より前に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要があります。

もし30日前を過ぎてしまったら、免税事業者になれるのは翌々期となってしまいます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。インボイス発行事業者になる時・やめようとする時に必要な届出の準備は慎重に行う必要がありそうです。

インボイス発行事業者をやめる時までを見据えて、登録時の申請書や届出書は必ず保管するようにしたいものです。

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横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。