インボイス制度登録しなくても良い4つのケース

インボイス制度は必ずしも登録しなければならないものではありません。
まず知っておきたいのは、登録するかどうかはご自身で決めて良いということです。

今年の10月から制度が始まることもあり、もう登録を済ませたという方も多くなってきたようです。
でも、インボイス登録をしなくてもデメリットがない(または少ない)と考えられる方もいらっしゃいます。
それは以下にあてはまる方です。

登録をしなくてもデメリットがないと考えられるケース

1 売上先が消費者の場合
2 売上先が消費税を納める必要がない立場の場合
3 売上先が簡便な方法で消費税の計算を行っている場合
4 一定の不動産オーナーにあたる場合

これらにあてはまる方は、登録をしなくてもデメリットがない(または少ない)と言えます。
それでは、それぞれのケースを詳しくご紹介します。

売上先が消費者の場合

売上先が消費者の場合は、基本的にインボイスへの登録をしなくても良いと考えられます。
たとえば、美容院やネイルサロン、飲食店、自動車販売、個人向けコンサルタントなどです。

簡単に消費税の仕組みをご説明しますと、
消費税を納める必要があるのは、事業を行っている方です

つまり、一般の消費者が消費税を納める必要はありません。
私たちの普段の生活をイメージすると分かりやすいですね。
毎年消費税を計算して納めることはしていません。

インボイス制度が始まると、インボイス登録をしていない支払先からの購入は、消費税を経費にできないというデメリットが生じます。
そのため、支払先にインボイス制度の登録を促す動きが想定されています。

ただし先ほど例に挙げた業種のように消費者相手に商売をされている方の場合、売上先は消費税を納める必要のない一般の消費者の方です。
そもそも消費税を納める必要がないのですから、消費税を経費にできないというデメリットが生じません。
そのため、取引相手が一般の消費者の場合はインボイス登録をしなくてもデメリットがないと考えられます。

ただし、会社の接待によく利用される飲食店のような場合はこの限りではありません。
取引相手は会社(=事業者)になりますので、相手によっては消費税を経費にできないというデメリットが生じます。
飲食店で一括りにせず、自分の取引相手が消費者なのか事業者なのかで判断する必要があるといえます。

売上先が消費税を納める必要がない立場の場合

こちらも考え方は先ほど同じです。
売上先が消費税を納める必要がない立場であれば、消費税を経費にできないというデメリットが生じません。

ちなみに、消費税を納める必要があるかどうかは概ね以下の基準で判断します。
・2期前の売上が1千万円を超えない
・前期の前半の売上と給与のいずれもが1千万円を超えない
いずれにもあてはまる場合、消費税を納める必要がない立場といえます。

ただし、実際には相手の売上を知ることは不可能です。

相手が消費税を納める立場かどうか確認する方法の1つに、国税庁のHPで調べてみるのも有効です。
国税庁:「適格請求書発行事業者公表サイト

売上先が簡便な方法で消費税の計算を行っている場合

消費税の計算には2つの方法があります。
1つは原則的な方法、もう1つは簡便な方法です。
売上規模が小さい事業者の場合、簡便な方法を選ぶことができます。

簡便な方法を選んだ場合に必要なのは、売上に関する情報のみとなります。
経費の情報は不要ですので、インボイス制度の登録がないと消費税を経費にできないというデメリットが生じません。


つまり、(自分にとっての)売上先が簡便な方法で消費税の計算を行っているケースでは、売上先では自分がインボイスに登録してもしなくても影響は生じないんですね。

ただし、これも注意点があります。
それは売上先が1社に限定されない場合です。
売上先が複数あれば、簡便な方法で消費税の計算を行っている売上先もあれば、原則的な方法をとっている売上先もありえます。
そうすると、原則的な方法をとっている売上先からは、消費税を経費にできないことからインボイス登録を促される可能性はあります。

また、相手が簡便な方法をとっているかどうかは相手に聞かない事には基本的に知るすべはありません。
先ほどの国税庁のHPにもそこまでの情報は掲載されていませんので、売上先に確認するほかないということになります。

一定の不動産オーナーにあたる場合

世の中の取引には、消費税のかかるものとそうでないものがあります。
たとえば、医療品の購入や学校教育の授業料などは消費税のかからないものです。
要は税金をかけるには適さないようなものです。

このような消費税がかからない取引の1つに土地(駐車場は除きます)や住宅の貸付が含まれています。
土地や住宅の貸付をしている不動産オーナーの方は、そもそも自分にも相手にも消費税がかからないということになります。

したがって、インボイスの登録がないと消費税を経費にできないというデメリットが生じませんので、登録をしなくてもデメリットがないと考えられます。

まとめ

本日は、「インボイス登録をしなくてもデメリットがない(または少ない)と考えられる方もいらっしゃいます」というお話をしました。
売上先が消費者であったり、自分が不動産オーナーであることはすぐにわかりますが、売上先が消費税を納める必要があるのかどうか、また簡便な方法で消費税の計算を行っているかどうかは確認が必要です。
場合によっては時間がかかったり、取引の交渉に発展することも考えられますので、確認を進めていった方が良さそうです。
インボイス制度でお困りの事があれば、こちらからお問い合わせ頂ければ幸いです!

横浜市緑区の女性税理士。 お金と利益をしっかり残す経営を サポートいたします。 銀行融資、経理、クラウド会計が得意。 税理士だけど、税理士らしくない。 親切丁寧なサポートを心掛けています。 お客様と一緒に成長していくことが私の想いです。 趣味は ・ランニング ・読書 ・料理 ・パン屋さんめぐり。