【融資】のデメリット
前回のブログでは、融資を受けるメリットを紹介しました。
融資を受けることは会社にとって大きなメリットがあると言えますが、
一方でデメリットもあります。
実際に融資を受けることを検討している段階で、デメリットも把握し、
両者を比較したうえで、融資を受けるのかどうかを判断する必要があると言えます。
そこで本日は、融資を受けるデメリットについて記したいと思います。
①利息を支払わなければいけない
融資を行う側=銀行はタダでお金を貸すわけにはいきません。
銀行の目的は、利息収入です。
会社はお金を借りている期間中ずっと利息を支払わなければなりません。
ちなみに銀行の金利は概ね年1~3%です。
年2%の金利で500万円を借入れた場合、1年目に支払う利息は、
500万円×2%=10万円
です。
ただ、これは元金据え置き(一定期間は元金の支払いを行わず、利息の支払のみ行う返済方法)
が1年以上あるケースです。
元金返済を据え置きせず、5年間で完済しようとする場合、
500万円÷5年=100万円
が毎年の元金返済額です。
そうすると、1年後の借入残高は400万円となります。
1年間の平均融資残高は、
(500万円+400万円)÷2=450万円
となり、1年間に支払う利息は、
450万円×2%=9万円
ということになります。
月単位の利息は、
9万円÷12か月=7,500円
です。
この7,500円をどう考えるでしょうか。
毎月支払う義務が生じますので、会社にとって負担は増加します。
一方、7,500円を支払うことで、会社は融資のメリットを受けることができます。
利息を支払ってでも融資のメリットを受けたいと判断される社長も多いのではないかと思います。
②返済義務が生じる
融資を受けたのちの返済方法は、
- 分割返済…毎月元金と利息を返済する方法
- 一括返済…返済期間経過後に一括して元金を返済する方法。利息は、融資実行日に一括して支払う方法などがある。
- 元金据え置き返済…一定期間は元金返済の猶予を受け、利息の支払のみを行う方法。一定期間経過後は、分割返済となる。
があります。
いずれにせよ、借りたお金と利息を返済しなければなりません。
1度でも返済が遅れれば、銀行の目は非常にシビアになります。
遅延が発生すれば、解消するまでは新規の融資は受けられませんし、
解消後も3~6か月は新たな融資は受けられないと考えた方が良いでしょう。
そのため、融資を受けたお金で売上げを上げ、
残った利益から返済するという計画をしっかりと立てることが重要です。
特に、創業融資の場合、先の売上が読めず計画を立てることが難しいのは事実です。
しかし、あまりにも現実とかけ離れた計画で融資をうけてしまうと、
返済できないという事態になりかねません。
また、一度にお金がたくさん口座に入金されたことに浮かれてしまい、
無駄な経費に使ってしまうと、後々の返済が苦しくなります。
いずれにせよ、融資を受けたことでより気を引き締め、
しっかり売上を上げ、利益を多く残していきたいものです。
③経営者が連帯保証人となることが多い
会社が融資を受ける際、多くの場合は社長が連帯保証人になります。
銀行は、貸し倒れ(=貸したお金を返してもらえなくなる)ことを最も懸念しています。
会社に行った融資に対し、社長が連帯保証人になっていれば、
仮に会社が返済できなくなる事態に陥っても、社長個人の資産から返済してもらえます。
また、社長が責任を負わないのであれば、
会社が赤字であっても、融資を引き出すことさえできてしまえば
社長個人は赤字を背負うことなく、会社からお金を引き出すことができてしまいます。
連帯保証はこのようなモラルハザードを防ぐためとも言われています。
一方で、社長による連帯保証に頼りすぎる融資は好ましくないため、
新しい動きもでてきています。
2014年2月にスタートした経営者保証ガイドラインは、
経営者保証なしでも融資を受けられる道が示されています。
2023年4月からは更なる見直しが図られ、
今後社長による連帯保証は縮小していくと考えられますが、
今すぐに制度として禁止されるということにはなりません。
打開策は、社長が連帯保証人にならずに融資を受けられる方法を検討することです。
連帯保証なしに融資を受けられる条件は、経営者保証ガイドラインに示されています。
- 法人と経営者が明確に区分・分離されている
- 法人のみの資産や収益力で返済が可能である
- 金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている
これら3つのガイドラインを意識した経営を目指すことが重要であると言えます。
④財務内容が悪化する
融資を受けた場合、財務内容はどのように変化するでしょうか。
融資は会社にとって「借入金」にあたります。
借入金は返済義務のある債務の扱いですので、
決算書上は貸借対照表上に「短期借入金」または「長期借入金」と表示されることとなります。
短期借入金と長期借入金の違いは、会社の決算日から1年以内に返済期限を迎えるか否かです。
1年以内に返済期限を迎えるものは、短期借入金、それ以外を長期借入金に表示します。
手形による運転資金やつなぎ資金などの借入は短期借入金、
設備投資や金銭消費貸借契約に基づく運転資金の借入は長期借入金に分類されることが多いです。
短期借入金、長期借入金はいずれも貸借対照表上は「負債」の位置に表示されます。
一方で、借入により手もと資産である「現金」は増えます。
例えば、500万円の融資を受けた場合、
貸借対照表上は資産(現金)が500万円増え、見合いの負債(借入金)も500万円増えます。
プラスの資産とマイナスの負債が同額増えても、相殺されると0です。
この時点では、会社の財務内容に何も影響はありません。
では、どのようなケースで財務内容が悪化するか?と言えば、
融資で得たお金で利益を上げることができない場合です。
利益を上げられなければ、給与や家賃の支払などの支払を行った分、
手もとの現金は減っていきます。
そうすると、資産<負債になり、財務内容は悪化します。
つまり、融資で得たお金で収益力のある会社になることが大切であると言えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
融資を受ける際にはデメリットの十分な検討が必要であると言えます。
私自身は、デメリットも知ったうえで、メリットの方が大きいと考えます。
しかしながら、融資を受けられた!ということに満足せず、
融資を受けた後が本当の勝負です。
融資で得たお金をもとに、利益を上げ、
継続して融資を受けられる(=銀行が貸したくなる)会社であり続けることが重要です。