会社の安全性は決算書から分析することが可能です(^^
会社の安全性を分析すると、
・経営の安定性(=資金の余裕度)
・あらゆる支払に耐えうるか
を客観的に検証することができます。
それでは、さっそく確認していきましょう!
借入金はワンイヤールール
銀行からお金を借りる(融資を受ける)と、
借りたお金は貸借対照表で借入金と表示されます。
借入金には、
短期借入金と長期借入金の2種類があります。
これら2つは、貸借対照表(以下、BS)に表示される場所が異なります。
短期借入金は、BSの流動負債
長期借入金は、BSの固定負債
となります。
流動負債と固定負債は、換金性のスピードにより表示を分けています。
流動負債→1年以内に返済する負債
固定負債→1年を超えて返済する負債
これをワンイヤー(1year)ルールと言います。
融資を受けたお金のうち、
返済期限が1年以内の金額→短期借入金
返済期限が1年を超える金額→長期借入金
ということですね(^^
これは負債に限ったお話でなく、資産も同じです。
1年以内に換金できる資産→流動資産
1年を超えて換金できる資産→固定資産
流動資産には、売掛金、受取手形、短期貸付金などがあり、
固定資産には、有形固定資産や有価証券などがあります。
流動比率で会社の安全性をみる
流動資産と流動負債を使った流動比率は、
会社の安全性を分析する指標として有効です。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
流動比率は、
1年以内に換金できる資産が、
1年以内に返済期限が来る負債の何%あるか
という会社の支払能力を示す比率です。
比率は高い方が良く、
一般に200%以上あることが望ましいとされています。
もし100%を切ると支払能力に問題ありと判断されます。
短期借入金と長期借入金には
望ましいバランスがあるということです。
健全なBSかどうか
ここで少し問題です。
下の4つのBSのうち、健全なのはどれでしょうか。

ここまでの話からすればもうお分かりかもしれませんが、
答えは①と②です。
①の方がより良く、④に行くほど不健全と言えます。
なぜ、そう言えるかというと
ポイントは流動比率です。
①と②は流動負債<流動資産です。
つまり、1年以内に返済期限が来る負債より、
1年以内に換金できる資産の方が多い状態です。
短期で支払いの必要があるお金を十分確保できている状態と言えます。
一方③と④は、
1年以内に返済する必要があるお金(流動負債)に
1年以内に換金できる資産(流動資産)が足りていません。
つまり、1年以内に資金が足りなくなる可能性が高いと言えます。
分析だけが全てではない!
さて、ここまで説明しておきながらナンなのですが。。
流動比率だけで万事OKという判断は危険です。
なぜなら、流動比率は決算書の表面上の数字しか見ていないということです。
流動比率は、流動資産と流動負債から計算することは先ほど申し上げました。
もし、流動資産の中に
入金の見込みがない売掛金や不良在庫が混ざっていたらどうでしょうか。
流動資産=1年以内に換金できる資産でしたが、
入金見込みのない売掛金や不良在庫はそもそも換金がほぼ見込めません。
決算書の中身をみて、実態で考えなければ
本当の意味での安全性は見えてこないということです。
さらに、実際の銀行融資では、流動比率より重きをおいてみているポイントがあります。
それは現預金の金額の大きさです。
例えば、月の売り上げが100万円の会社で、
現預金が400万円、短期借入金が500万円だとします。
この会社の流動比率は80%(400万円÷500万円×100)です。
流動比率だけみれば100%を下回り危険な状態と言えます。
しかし、月の売上が100万円であれば、
同じく月の経費は概ね100万円前後と考えられます。
手元に400万円があれば、
たとえ100万円の売上入金に数か月を要したとしても、
経費の支払に耐えることは可能です。
流動比率は決算書分析の大事な指標ではありますが、
手元に現金(預金)を十分持つこと、これが会社が生き残るためにはもっとも大事ということです。