2割特例とは?
インボイス制度の「2割特例」がはじまる見込みです。
「2割特例」とは、売上分の消費税のうちの2割を納めれば良いですよ、というものです。
例えば、年間売上が1,100万円の場合。
消費税は100万円ですから、その2割の20万円を納めるということになります。
サービス業や飲食業などの方は、この特例を使った方が消費税の負担が小さくなることが見込まれます。
インボイス制度の導入により、これまでなら消費税を納める必要がなかった方でも、今後は消費税を納めることを選ぶ方が増えるでしょうから、その負担は大きいものですよね。
インボイス制度導入の痛みをできるだけ和らげたいという政府による緩和措置の1つといえます。
2割特例が使えない!?3つのケース
ただし、2割特例はみんなが使える制度ではありません。
使えないケースを3つ挙げてみます。
1 2期前の売上高が1,000万円を超える場合
2期前の売上高が1,000万円を超える場合は、法律上消費税を納める立場が強制となります。
2割特例は、本来なら消費税を納める必要がない方に対する緩和措置なので、法律上消費税を納めることが強制される立場の場合には使えません。
例えばこちらの例では↓

インボイス制度導入により消費税を納める立場を選んだ場合、
令和3年…2割特例導入前のため、使えない。
令和4年…2割特例導入前のため、使えない。
令和5年…2期前(令和3年)の売上が800万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使える。
令和6年…2期前(令和4年)の売上が1,100万円(1,000万円を超える)ため、2割特例が使えない。
令和7年…2期前(令和5年)の売上が900万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使える。
令和8年…2期前(令和6年)の売上が800万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使える。
令和9年…2割特例自体が廃止のため、使えない。
こととなります。
2 1期前の前半の売上高・給与のどちらも1,000万円を超える場合
実は1期前の前半6か月間の売上高と給与支給額のどちらともが1,000万円を超える場合も、法律上消費税を納める立場が強制となります。
先ほどもお伝えしたとおり、2割特例は、本来なら消費税を納める必要がない方に対する緩和措置なので、法律上消費税を納めることが強制される立場の場合には使えません。

令和4年…2割特例導入前のため、使えない。
令和5年…1期前(令和4年)前半の売上高・給与が300万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使える。
令和6年…1期前(令和5年)前半の売上高・給与が500万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使える。
令和7年…1期前(令和6年)前半の売上高・給与が1,100万円(1,000万円を超える)ため、2割特例が使ない。
令和7年の場合、先にお伝えした1(2期前の売上高が1,000万円を超えるかどうか)によれば、
2期前(令和5年)の売上高が900万円(1,000万円を超えない)ため、2割特例が使えることになりそうですが、
それに加えて2(1期前の前半6か月の売上高・給与のどちらも1,000万円を超える)で判定をする必要があります。
結論としては、1期前(令和6年)前半の売上高・給与が1,100万円(1,000万円を超える)ため、2割特例が使ない。
こととなります。
3 令和5年10月1日以前から消費税を納める立場を選んでいる場合
消費税は、納める必要がない場合でもあえて消費税を納める立場を選ぶことができます。
たとえば、高額の設備投資をする場合。
仮に、創業時に1,100万円の設備投資をして、売上が550万円の場合では、
売上分の消費税(50万円)ー支払分の消費税(100万円)=△50万円ということになり、
50万円は戻ってきます。
消費税は多く支払った分は戻ってくる仕組みですので、この仕組みを利用して
高額な設備投資をする年はあえて消費税を納める立場を取って、多く支払った消費税を戻してもらうことができます。
ただし、2割特例は、令和5年10月1日以前からあえて消費税を納める立場を取っている場合には使えません。
自分があえて消費税を納める立場を取っているかどうかは、「消費税課税事業者選択届出書」を過去に提出しているかどうかで確認ができます。
まとめ
本日は消費税の2割特例が使えないケースについてお伝えいたしました。
実は誰もが使えるわけではない、というのは注意しておきたいことろです。
自分が2割特例が使るのかどうか詳しく聞きたい、使えない場合の対処方法について教えてほしいという方がいらっしいましたら、ご相談も受け付けておりますのでご連絡ください(^^)/
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